人手不足倒産、過去最多を更新建設・物流業を中心に深刻化

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第498号(2025年4月21日発行)

人手不足倒産、過去最多を更新建設・物流業を中心に深刻化

帝国データバンクはこのほど「人手不足倒産の動向調査(2024 年度)」の結果を公表した。2024年度における人手不足を要因とする倒産件数は350件にのぼり、2年連続で過去最多を更新した。この調査は、負債1,000万円以上かつ法的整理による倒産を対象としており、2013年の集計開始以来、最多の水準を記録している。

業種別では、建設業が最も多く111件に達し、初めて100件の大台を超えた。次点は物流業の42件で、前年度からやや減少したものの、高い水準に変わりはない。いずれの業界も「2024年問題」とされる時間外労働の上限規制の影響を強く受けており、慢性的な人材不足に直面している。

最近では、大企業による新卒初任給の引き上げや、政府が掲げる最低賃金1,500円の目標により、賃上げの流れが加速している。待遇改善を求めて転職に踏み切る労働者も増加しており、十分な賃上げ余力を持たない小規模事業者において、いわゆる「賃上げ難型」の倒産が引き続き高水準で推移する可能性が高い。また、賃上げの原資をどう捻出するかも、大きな課題だ。価格転嫁の実現がその鍵を握るが、実態としては困難を伴うケースが少なくない。たとえば、全業種平均の価格転嫁率は40.6%にとどまり、建設業では39.6%、物流業では32.6%とさらに低い数値にとどまった。「モノの値上がり」であれば取引先の理解が得られやすいものの、「賃上げ目的」となると納得を得にくいとの声も現場からは聞こえてくる。

外国人建設技術者の採用・定着に向けて国交省 中小企業向けの手引を公表

国土交通省はこのほど、中堅・中小建設企業の経営者および実務担当者を対象とした「外国人建設技術者の採用・定着に向けたハンドブック」を公表した。本ハンドブックでは、外国人技術者の受入れにあたって企業が実施すべき採用準備、受入環境の整備、定着支援までの一連のプロセスを体系的に解説しており、既に受入れを行っている企業の多様な事例も紹介されている。

建設業界では、高齢化の進行や若年層の減少、新規入職者の確保難、離職率の増加といった構造的課題が顕在化しており、今後さらに監理技術者などの建設現場で活躍する技術者の不足が見込まれている。こうした課題に対応するためには、国内人材の確保や生産性向上に加え、外国人高度人材の活用が重要であり、国土交通省はその受入れ支援に注力している。

ハンドブックの第一章では、企業が自社の受入体制を点検できるチェックリストを掲載し、体制整備の現状を把握できる構成になっている。第二章では、採用計画の立案、募集・選考、雇用手続きから、職場定着までの具体的な取組ステップを詳細に解説している。第三章では、先進的な取組を行う中堅・中小建設企業の実例を紹介し、実務への応用が可能なヒントを提供している。第四章では、外国人の入国後の生活支援、在留資格申請手続き、主要な送出し国の基礎情報などを網羅しており、各種情報にアクセス可能なQRコードやURLも掲載している。

日本ビズアップ株式会社 発行「NEWSWAVE」より)

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